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人間行動分析には視覚系運動に注目すべし!

ヒトは、外界の情報の大部分を視覚系から得ています。膨大な情報を効率良く受容するために、視覚系にはさまざまな巧妙な仕組みがあります。前述しました、眼球には視線運動、瞳孔運動、さらにまばたきの眼球運動制御機能がそれにあたります。これらは外界から必要な情報を、ヒトの網膜の中心において効果的に受容できるように制御され、視覚系の働きを補助しています。

すなわち、外界の情報を受容しやすい場合とそうでない場合では、これらの働きに明らかに違いが生じるはずです。また、外界から情報を受容することによって生じる精神活動によってもこれらに対応する運動制御系の反応があるはずです。

以下に、これらの代表的な例を説明します。

視線運動によるヒトの行動の客観的評価

見つけやすい対象には視線の移動に無駄は生じず、短時間の直線的な動きによって対象を網膜中心に捉えるように動きます。一方、見つけにくい対象には視線はさまようような動き(キョロキョロしている状態)になるので、視線の移動軌跡が複雑になり対象発見までの時間が長くなります。

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ヒトの行動を記述するとは?

環境に対する情報処理と生体反応のモデル

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ヒトの情報処理と生体反応のモデル

われわれが環境からなんらかの情報を得て精神活動あるいは行動を起こすプロセスは、概ね図(上記)のようなモデルで表せます。

通常時には、感覚器(眼、耳、皮膚、鼻、舌など)への刺激によってヒトが外界の情報を得ると、各感覚器ではその刺激(物理的刺激あるいは化学的刺激)が神経系を伝わる電気信号に変換されます。そして、その電気信号は求心性(末梢(体の各部)から中枢(脳)に伝わる方向)の神経系を経て大脳中枢の入力側に到達します。大脳中枢では学習によって過去に蓄積された記憶と照合することで、今入力された情報を《認識》したり、これによって《推論》したり、あるいは何らかの情動反応が表出したりするなど、さまざま高度の情報処理を行っています。これらは、精神活動と呼びます。

大脳中枢の出力側では、情報処理の結果に基づいて、行動の手順を信号によるプログラムに組み立て、その信号を遠心性(中枢から末梢に伝わる方向)の神経系を通じて運動器に送ります。運動器とは行動のもとになるものの総称で、ヒトの各器官の筋肉が主要な動きをつかさどります。つまり、運動器が指示の信号を受けると筋肉が動作し、ヒトの行動につながります。たとえば、眼球が動いて次の情報を得るようにしたり、顔面の筋肉が動いて表情が変わったります。

ヒトの行動を記述するための古典的なアプローチ

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