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視線運動からひとの行動を分析し映像評価へ

私こと、花村剛は、2010年1月22日(金)に開催の電子情報通信学会と日本写真学会の共催セミナー「イメージングメディアの画質評価」で講演することになりました。

以下はその講演概要です。このページの下にあるリンクから参加申込み可能です。

あなたのご参加をお待ちしています。

映像品質評価でも人間の行動分析が重要

近年、IT技術を中心としてメディア技術が急速に発展して多様化したことで、情報へのアクセスが容易になった。その反面、情報が氾濫し玉石混淆状態で有用な情報にたどり着くのは容易でない。一方で、情報提供側は、映像情報を多用して需要者に効果的に情報を送り届け認知させることに、より多くの労力を掛ける必要が生じている。

現在のコミュニケーション環境下では、提示する映像自体の良し悪しだけでなく、その提示条件までもが、情報の質に影響を与え、受容した人の行動を左右する。つまり、行動科学的なアプローチが求められる。

筆者らは、この問題意識に基づき、提示する刺激の違いが人の行動にどのような影響を与えるかを客観的に調査・研究する手法開発とそのコンサルティングを行っている。ノンバーバル事象全般を対象とするが、現状は視覚的な反応に焦点化するため、視線・瞳孔径運動を主に扱っている

視線・瞳孔径運動に注目する意味

人の感覚器から入力される情報は脳で処理され、それに基づいて反応し人は行動する。視覚刺激に対しては、眼に映った像に関する情報を網膜から受けて、脳がたくさんの処理をしないとものを見ることはできない。また、視覚過程では、見つけやすい対象には視線移動に無駄は生じず、短時間の直線的動きによって対象を網膜中心に捉えるように働く。一方、見つけにくい対象にはさまようような動きになり、視線の移動軌跡が複雑となり対象発見までの時間が長くなる。

これを前提にすると、提示映像の信号レベルでの評価だけでは、提示される条件(提示場所、提示方法、周辺環境、タイミング)などの影響を直接計測することが困難となり、主観的評価に頼らざるを得ない。

映像の提示条件は以下に列挙のとおり多岐に渡る。

  • リビングでのテレビ画面で視聴
  • パソコンモニターに提示(全画面、ウィンドウ)
  • POP(Point-of-purchase、店頭広告)
  • 掲示板ポスターなど印刷物提示
  • 街中看板、デジタルサイネージ
  • 携帯端末(手程度の画面)への提示

映像信号処理条件に留まらず、人が最終的に映像知覚する時のリアルな空間での提示条件が、人が認知する映像品質に少なからず影響を与えることは容易に想像できる。

本発表では、人の視覚・認知という観点から、映像品質評価の課題を整理する。それに対する一つの方法として、視線・瞳孔径運動の計測および解析を位置付け、その手法を紹介する。

セミナー詳細はこちらから

以上の講演の他、数名の講師による講演と私も参加するパネル討論が開催されます。

その詳細と申込み方法はここからご確認ください

当日会場にてお目にかかれることを楽しみにしています。

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